五條悟と時渡るJK〜過去いま運命論〜(dream)

□14-寝てる子とJK
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ごじょーさとるは眼を閉じてグッタリしてた。

――へー、薬って効いたら寝ちゃうんだ…

 子供ならではスベスベほっぺを突いたり、つねったりするけど起きる感じはなさそう。
 ていうか気持ち良すぎて永遠に触ってたい肌触りだった。

 アミは不思議な力を使われないようにずっと掴んでいたもう片方の手を離す。

――うーん、アミってばやっぱりテクニシャンだわー

 さっきのごじょーさとるの様子を思い出して、ちょっと得意げになっちゃうアミ。
 息をハァハァさせて、顔を真っ赤にして涙目で睨まれたけど、かーわいーなー、って感想しか出てこなかった。 

あのクソ生意気なごじょーさとるを“くっぷく”させたテクニックに自画自賛しちゃうね!
 子供相手にキスをしたのはアミ初めてだったんだけど、いけないお姉さんの気分が半端じゃなかった。癖になったらどうしよー

 伊地知パパからは「僕が育てたんだからね! 他の男にしちゃ駄目だよ」みたいなことを言われてたけど、もう縁切ってるから関係ないよね。それに緊急事態でもあるし。それに男じゃなくて男の子だし。ノーカウントでしょ!

 気づいたらプリクラの撮影も終了してて、次の子たちが外で待ってるのが見えた。
 ごじょーさとるを確認したら、顔の赤みも引いて来て、スースー寝息をたててた。

 アミは撮影ブースから出て、待っていた子たちに声をかける。

「ねえ、ごめん。“私”の連れの子が倒れちゃったんだ。店員さん呼んできてくれない??」

 優しい子たちで、大変じゃんって、言って店員さんを呼びに行ってくれた。

 アミはその間に、速攻で落書き時間を強制終了させる。
しばらくしたら、ごじょーさとるとチューしてるプリクラが出てきた。

仕事のできるアミが“小学生を襲ってるイケナイプリクラ”を回収した所で、ゲーセンの店員さんがアミ達の所にやってきた。



 オジサンになりかけくらいの店員さんが来てごじょーさとるをおんぶする。
ゲーセンのスタッフルームまで連れてってくれて、ごじょーさとるは部屋にあったソファに寝かしつけられた。

 いきなり倒れたんです。今日はじめて会った子で名前も分からなくて、どうしたらいいですか。“私”、門限があって帰らないと行けないんです――って説明したら、念のため救急車呼ぶからそれまでいてって言われた。

 名前を聞かれたから「ムコウダツルカ」って答えた。
連絡先は適当に言ってドキドキしたけど、その場で電話をかけたりして確認されなかったからラッキー!!

 ソファの横に折りたたみ椅子を店員さんが出してくれて、アミはそっちに座る。
 そして、やさしーアミは、眠っているごじょーさとるの頭を撫で続きてあげてた。

 眠っているごじょーさとるは、起きている時の生意気さもわがままさも無くて、ただ単純に寝顔が可愛い男の子だった。まつげが長くて羨ましいなー。てか、マジ天使じゃん。写真撮りたいんだけど。

 薬の副作用とかあったらどうしよーって思ったけど、ごじょーさとるの様子を見る限り特に心配しなくてよさそう。――って、信じたいけど、ちょっとだけ不安なんだよね。大丈夫かなー?

 アミがそんな事を考えてたら、店員さんが近づいてきた。

「駅周辺で暴動が起きてるらしくてね、警察とか救急車、そっちの方にいっちゃてるのかもね」

 こりゃ、ここに来るまで時間がかかるかな。と、店員さんは困ったように笑った。

「暴動ですか?」
「今日、ノストラダムスの大予言の日でしょ。それにカッコつけて、ヤンキーや不良たちが暴れてるみたいなんだ」

 えっ、そいつら馬鹿じゃん。ウケル――反射的に口から出そうになって、無理やりお口チャックして言わないようにアミ頑張った!

「君も帰る時は気を付けてね」
「はーい。ありがとうございます」

 アミは笑顔でお礼をする。こうしとくと礼儀正しい子にみられて得するんだよね。

 店員さんは気を良くしたのかスタッフルームの中にあった自販機で、ココアを買ってくれた。
 でもきっと飲み切れないのが分かったから、お土産にしようとクソダサゴルフバックにしまう。

「うーん、だけどこんな時間に、こんな小さい子が出歩いてたら、ご両親もきっと心配して探してるんじゃないかな?」
「そうですよねぇ、きっと心配してそう…」
「この子何か身元分かるようなもの持ってないかな?」
「あっ、たしかに! 何か持ってないかなー?」

 店員さんはド真面目な人っぽくて、アミはオウム返し気味に話を合わせてあげる。

 ごじょーさとるの洋服を店員さんがまさぐり始めると、スタッフルームの扉があいて、女の店員さんが入ってきた。

「えっ、店長! そんな小さい子に何イタズラしてるんですか!? 最低です!!」

 どうやら男の人は店員さんじゃなくて、店長さんだったみたい。

「いや、誤解だって!!」

 店長さんが慌てて事情を説明すると、お姉さんがごじょーさとるの傍に近づいて座りこむ。聞いたら女医志望の人なんだって。

 色々と触ったり、洋服をめくって何か確認してるみたい。
 アミも何個か質問されたから、ちょっとだけ嘘ついて答えた。

「脈拍も呼吸も安定してますし、外傷もなし。眠くなって限界がきて寝てるって感じにみえますね。転倒して頭打ったりしてないなら、すぐに命に係わるような事でもないと思いますよ。――おい、君、起きろー!!」

 姉さんはごじょーさとるに大きな声をかけ続ける。
 ごじょーさとるはピクリと眉間に皺を寄せた後、ゆっくりと目を開いた。

「おはよー。君、急に倒れたんだけど、痛い所とかある?」
「ねーよ。うるせぇ、寝る…」

 お姉さんに背を向けるように体を横向けにして、ごじょーさとるはまた眠りに落ちた。
 うん。ごじょーさとるは、どこにいても、ごじょーさとるみたいだね!

「意識はハッキリしてたるみたいですね。すぐに命に別状がある状態じゃないんで、救急車はいらないと思います」
「本当? 大事ないなら良かった」
「よければ私もう仕事上がりなんで、この子の様子見てましょうか?」
「えー! いいの!? ありがとう!」
「あと警察は呼びました? 身元分からないなら保護してもらわないと」
「おお、そうだね!」

 めっちゃ有能なお姉さんに対し店長はずっと頷くだけだった。

 お姉さんがごじょーさとるは命に係わる状態じゃないって、ハッキリ言ってくれたらアミはホッとする。



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